【No3】暗いと自動で光るナイトランタンを作ろう!

ワンコイン工作第三弾。今回は、百円ショップで見つけたオシャレなバルブランタンを500円以内で改造してみようと思います。ほどこす改造は、CdSという光センサーと、トランジスタで構成するセンサー回路を追加します。これにより、暗いと光り、明るいと消える、ナイトランタンを製作しようと思います。ユニバーサル基板のはんだづけもありますので、頑張って作っていきましょう。

製作費;422円


ダイソーのナイトランタンを分解する

写真2;ダイソーには多くのランタンが販売されている
写真3;今回改造する3WAY BULB LIGHT

さっそく、ナイトランタンを分解していきましょう。最近のダイソー製品は、昔とは比べものにならないくらいオシャレになっています。自粛期間開けのキャンプブームの波もあり、アウトドア向けのランタンなどがたくさん販売されています<写真2>。 そのなかで選んだのが、写真3の3WAY BULB LIGHTです。透明な球体の中に、白熱電球のようなものが入っているような見た目で、とてもオシャレです。

ですが、これはLEDを用いており、電球風にアレンジされたものになります<写真3>。お値段は330円と、ダイソーのなかでは結構高めですが、デザイン性の高さからは納得の値段でしょう。

写真4; さっそくダイソーのランタンを分解する
写真5; スイッチはトグル型
写真6; 単四電池を三本使う

さて、そんなランタンをさっそく分解していきましょう<写真4>。このランタンの電源は、サイドにトグルスイッチがついており、上に倒すことでランタンが付きます<写真5>。裏面に、単四電池が3本入る構造なため、電源は4.5Vとわかります<写真6>。

写真7; 裏面にネジが四つある
写真8; 中身はとってもシンプル

中身を空けていきます。開け方はとても簡単で、裏面に四つのネジ穴があります。これをプラスドライバーではずすことによって、簡単にあけることができます<写真7>。あけてみると、とてもシンプル<写真8>。

写真9;LEDのリードにそのままはんだ付けされている
写真10; 電流制限用の抵抗がついている

電池BOXの+端子から出た電流は、75Ωの抵抗を介してトグルスイッチにつながり、スイッチがONになると、LEDのアノード、カソードから電池BOXのマイナス端子に向かう経路で電流が流れ、LEDが光ります。とてもシンプルな回路構成です<写真9><写真10>。

第1図;ダイソーランタンの回路図

第1図に回路図を起こしました。とてもシンプルなLED点灯回路になっています。電球色のLEDの場合、LEDの降下電圧は一般的に3.2V。電池が4.5Vですから、75Ωの抵抗の端子間電圧は、4.5-3.2=1.3V。したがって抵抗に流れる電流は、I=V/Rより、I= 1.3/75=17.3mA 。つまり、17.3mAの電流がLEDに流れます。これは、LEDとしては少し多めです。なるべく明るく光らせるため、定格ギリギリまでながしているのかもしれません。


・光センサー回路のしくみ

光センサーにもいくつか種類があり、代表的なものだと、フォトダイオード、フォトトランジスタ、CdSなどがあります。その中で今回は、 CdS(硫化カドミウムセル)を使います。これは、第2図に示すように、硫化カドミウムを使用した光センサーで、光の強さに応じて電気抵抗が低下する抵抗器です。人の目の特性に近い特性(緑色の光に対して高感度)を持っていますので、各種明るさセンサーに最適です。今回使用するのが、秋月電子で販売されている、GL5528というセンサーを使います。下記が、スペックです。

・外形寸法:直径5mm

・ピーク波長:540nm

・最大電圧:150VDC

・最大電力:100mW

・明抵抗:10~20kΩ(10Lux時)

・暗抵抗:1MΩ ダイソーのランタンを改造し、周囲が暗いと光り、明るいと消える。そんな制御をしたいので、CdSの抵抗値が高ければ光る、CdSの抵抗値が低ければ消える、そういう判別ができる回路を設計できれば良いわけです。

第2図;光センサーCdSの抵抗値

第3図がその判別回路になります。今回は、トランジスタを使いました。ここではトランジスタの詳細な説明は省きますが、簡単に言うと、ベースの電圧が0.6V以上になったら、コレクタ-エミッタ間が導通する。そういう仕組みです。4.5Vの電源を、可変抵抗、抵抗とCdSで分圧しています。可変抵抗、抵抗の値は周囲の光に関係なく一定です。ただ、CdSは明るいと10kΩ、暗いと1MΩになるんでした。たとえば、可変抵抗と固定抵抗を合わせて100kΩあるとすれば、明るいときのCdSが10kΩのため、電源が4.5Vだと、ベース電圧は、Vb=4.5*((10k)/(100k+10k))となり、およそ0.4Vとなります。  

はたまた、周囲が暗くなり、CdSが1MΩであると、Vb=4.5((1000k)/(100k+1000k))となり、4.09Vとなります。したがって、トランジスタがONになり、LEDが付くという仕組みです。

第3図;暗いと光るセンサーの回路図

・追加する主な部品

写真11 CdS

CdS

CdSは、硫化カドミウムの化学式からその名がついており、光に反応して抵抗値が変化する部品です。反応速度はそこまで早くないため、通信用となどに使用はできませんが、安価であるため、夜間を検知して街燈を照らすなどの機能によく用いられます。

写真12 抵抗器

抵抗

抵抗器は、電流の流れを制限する素子です。抵抗本体にはカラーコードが書かれており、この色の帯が抵抗値を表しています。今回の回路では、LEDに流れる電流を制限する用途などに使用しています。

写真13 トランジスタ

トランジスタ

半導体であるトランジスタは、ベース端子に印加する電流の強さによって、コレクタ、エミッタ間の電流の流量をコントロールしています。加えるベース電流に対し、コレクタに流れる電流は、その100倍程度(増幅率という)流れます。いわば、小さな電流で、大きな電流をコントロールする増幅作用があります。今回の回路では、CdSの抵抗値によって変化するベース電流に応じて、コレクタ側につながっているLEDの電流量をコントロールする役割を担っています。

写真14 半固定抵抗

可変抵抗

可変抵抗は、ドライバーでダイヤルをまわすことで抵抗値を変化させることができる素子です。

テレビやラジオなどのボリュームも同じ原理です。今回は、CdSと直列でつなぐことで、明るさの感度を調節するボリュームとして使用しています。


光センサー回路をはんだづけ

第4図;ランタンに配線する部分と基板に配線する部分

さっそく光センサーの基板を製作していきましょう。第3図の回路図は、基板側で配線する部分とランタンの中で空中配線する部分に分かれます。第4図にそのすみわけを示します。まず、第4図の青色の部分を基板で配線していきましょう。

写真15が今回使用する基板です。

写真15;今回使用する基板
写真16;抵抗器
写真17;基板に差し込み、リードを45度にまげる
写真18;裏側からも覗き込み斜めについていないか確認する

まずは、抵抗器からはんだづけしていきましょう。抵抗器は、写真16のように根本から90度にまげ、基板に差し込みます。基板にさしたら裏側では45度程度に曲げて、落下しないようにします<写真17>。裏側からも覗き込み斜めについていないか確認しましょう<写真18>。

はんだづけの流れ

写真19;はんだコテをリードとランドにあてて加熱する(4秒)
写真20;はんだはリードとランドにあてる
写真21;はんだ、小手先の順に離す

次に、はんだづけをします。

はんだづけの手順は、写真19のようにコテ先を、付けたい部品のリードと基板のランドの間にあてます。4秒程度あてれば十分に加熱されます。その後、はんだを流します<写真20>。このときに大事なのは、はんだをコテ先ではなく、リードとランドになるべく充てることです。はんだを流したら、はんだを最初に離し、そのあとすぐにコテを離します。はんだを流してからコテをはなすまでは4秒以内(フラックスが揮発する時間)に収まると、きれいにはんだ付けをすることができます<写真21>。

写真22;そのほかの部品もつける
写真23;トランジスタは真ん中の端子を先にはんだづけして浮きを確認しよう
写真24;表面の実装完了

第5図を参考に、残りの部品も同じようにはんだ付けしましょう。すべて付き終わると写真24のようになります。

第5図;光センサーの基板(表面)
第6図;光センサーの基板(裏面)
写真25;裏面の配線をはじめる

続いて裏面の配線をしていきましょう<写真25>。第6図の裏面のレイアウト通りに配線をしていきましょう。配線は、スズめっき線を使いますが、新たに買うのは大変かと思います。そこで、さきほど切った抵抗のリードがあるかと思いますのでこちらを利用しましょう。たとえば、47kΩの抵抗と半固定抵抗を接続したいとします。

写真26;ランドを溶かしてリードを差し込む
写真27;リードをはんだづけした状態

まずは写真26のように、あらかじめはんだづけした抵抗のリードとランドをもう一度溶かします。そこに、切った抵抗のリードを差し込み、つなぎます。抵抗のリードは熱くなりますから、ラジオペンチなどで持つと良いでしょう。しっかりはんだが付くと写真27のようになります。

写真28;接続先にむけてリードを曲げる
写真29;接続先でリードを切り落とす

つなぐ先は曲がったところになりますから、ラジオペンチなどでL字に曲げます<写真28>。半固定抵抗のところで、リードをニッパーで切ります<写真29>。

写真30;接続先もはんだづけした状態
写真31;L字の角もはんだづけすると強度が増す

つなぐ先もはんだ付けをすれば、写真30のようにきれいにつけることができます。写真31のように、L字の部分もはんだづけすれば、強度が増しますのでお勧めです。第6図を参考に裏面を同じように配線しましょう。

写真33;リードのひふくを剥く
写真34;向いた状態(汚い)
写真35;第5図の通りに配線をつなぐ

リード線の被覆をむき、第5図のように、基板につなぎます<写真33><写真34>。プラス側の配線(電池+、CdS)とマイナス側の配線(電池−、LED(K))をつなぐと写真35のようになります。


ランタンに組み込む

第7図を参考に、ランタンに組み込んでいきましょう。

第7図;ランタン内での配線
写真36;ランタン上蓋側にあった配線を外す
写真37;下側は電源のマイナス側のみを残す

まず、もともとランタンの中にあった配線を取り除いていきましょう。上蓋側は写真36のようにLEDのアノードと電源スイッチ間の配線のみを越して、あとは取り外しました。下側は、電源のマイナス端子の配線のみ残しました。これは、そのままCdSに接続できるからです<写真37>。

写真38;センサー基板をつなげる
写真39;LEDのカソードをつなげる
写真40;上側の配線

あとは、第7図の通りに基板を配線していきます<写真38,39,40>。

写真41;CdSをつける穴をあける
写真42;CdSを差し込む

また、光センサーであるCdSは外に顔を出してなければなりません。そこで、ランタンの側面に3mmの穴をあけました。ドリルのビットはダイソーなどにも売っています。ランタンは樹脂製なので手で回しても開きます<写真41>。写真42のようにCdSを外から差し込みましょう。

写真43;電池などの端子はテープで絶縁する

また、CdSや、LEDのあたりはリードがむき出しかと思います。このまま無造作に基板をおいては、ショートの危険があるため、写真43のようにマスキングテープなどで覆いましょう。本当は、基板を固定するのがベストですが、簡易的な工作なのでこれもご愛敬かと思います。絶縁はしっかりしてください。

写真44;半固定抵抗を回して感度調節
写真45;蓋をしめる

蓋を閉じる前に、必ず感度の調整をしてください。写真44のように、ドライバーで半固定抵抗を回します。薄暗い環境で、半固定抵抗を回し、点灯するタイミングに合わせます。その後、部屋を明るくしたときに、ランタンの明かりが消えていればOKです。あとは、ランタンの蓋をとじて完成です<写真45>。

暗い場所ではランタンが付き、明るい場所では消えます<写真46,47>。


部品表

合計422円

 記号部品名部品の内容使用数[個]購入数[袋]価格(円)店舗名通販サイトデータシート
R1抵抗51Ω 1/4W111秋月電子通商通販リンクデータシート
R2抵抗47kΩ 1/4W111秋月電子通商通販リンクデータシート
VR1可変抵抗50kΩ(B)1130秋月電子通商通販リンクデータシート
R3CdSセル5mm 1MΩ1125秋月電子通商通販リンクデータシート
Q1トランジスタ2SC1815115秋月電子通商通販リンクデータシート
基板丸型基板(片面32mm)1130秋月電子通商通販リンクデータシート
DAISO ナイトライト11330ダイソー

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