【No2】手をかざして奏でる不思議な楽器を作ろう

~ユニバーサル基板の配線と光センサーを学ぼう~  

製作費;429円

・ポイント

①ユニバーサル基板のはんだ付け

②タイマーICの動作と原理

③光センサーCdSのしくみ

・難易度 ★★☆☆☆

・必要な工具

・はんだこて&はんだ

・ニッパー

・ラジオペンチ


【1】概要

今回は、手をかざす高さで音階が変わる、不思議な楽器を製作しましょう。CdSという光センサーを使い、光を手でどれだけ遮るかで、音階を変えます。音の高さは、階段状ではなく、かざす高さでアナログ的に変化します。 回路はタイマーICとして昔から親しまれているNE555を使い、発振回路を構成しています。音は、普通のスピーカーとは違い、圧電スピーカーを使います。これは、電気をあまり使わない方式であるため、電池式にはぴったりです。

ユニバーサル基板のはんだ付けや、基本的な発振回路の原理が学べます。是非、製作してみましょう。

写真1 これがかざして奏でる不思議な楽器

【2】本記事で注目の部品

【2-1】光センサー(CdS)とは

写真2 CdS
第1図 CdSの記号

CdSは、(硫化カドミウム)を使用した光センサーで、光の強さに応じて電気抵抗が低下する抵抗器です。抵抗値は、暗いときで1MΩ、明るいと10kΩまで抵抗値が低下します。一個30円程度と、安価で入手できます。

光センサーは、CdS以外に、フォトダイオードなどが有名です。

【2-2】タイマーIC 555とは

写真3 タイマーIC 555
第2図 555の記号

タイマーIC555とは、電気を流したり止めたりする動作を周期的に行う(発振動作)ことができるICです。発振の周期をすごく短くすれば(1周期0.001秒とか)、スピーカーで音を鳴らすことができます。また、周期をすごく長くする(1周期100秒とか)にすれば、100秒のタイマーを作ることができます。

周期の長さは、接続する抵抗とコンデンサの容量できまります。今回のピアノは、押すボタンによって、接続される抵抗が変わります。この抵抗値をそれぞれの音階にあわせて調整することでちょうどよい音階で音をならすことができるのです。


【3】その他使用する各部品

コンデンサ

写真4 コンデンサ
第3図 コンデンサの記号と読み方

コンデンサとは、電気を一時的に蓄える部品です。電気を蓄える といえば蓄電池とかを想像されるかもしれませんが、コンデンサは蓄電池にくらべて圧倒的に容量が少ないです。そのかわり、充電する速度、放電する速度がものすごく早いです。瞬時に電気を蓄える(吸収する)ことから、回路内で発生するノイズの吸収に使われます。蓄電池とコンデンサの違いを簡単に言うのであれば、蓄電池は、電気流すと中の物質が化学反応をし、状態を変えることでエネルギーを貯めます。それに対し、コンデンサは、電気の粒(電子)を直接ため込みます。そのため、蓄える電気の大きさ(エネルギー密度)が大きく、わずかしか貯められません。そのかわり、化学変化をさせる必要がないため、すぐに貯めれて、すぐに放電できます。

抵抗器

写真5 抵抗器
第4図 抵抗器の記号と読み方

抵抗は、電気を流れにくくする部品です。どれくらい流れにくくするかは抵抗値で決まり、単位はΩ(オーム)です。

今回は、音階の調節のために使います。抵抗器には、四本の帯が書かれており、これがカラーコードと呼びます。カラーコードは、抵抗値と誤差を表しており、写真の場合、茶色が1、黒が0、赤が2、金が5%であることから、茶色、黒で、1 0  。赤は、それに加える0の数を表しており、10に0を2つつなげて、1000となります。つまりこれは、1000Ω。1kΩとなるわけです。

圧電スピーカー

写真6  圧電スピーカー

圧電スピーカーは、ふつうのスピーカーと動作原理が全く違います。普通のスピーカーは、紙のコーンに電磁石をくっつけ、ここに音声信号(交流)を流すことで、電磁石が磁力で動き音がなります。コイルであるため、抵抗値がとても低く、同じ音量(電圧)でも多くの電流が流れます。

それに対し圧電スピーカーは、電圧を加えると曲がる性質のある金属板を使って音をならします。+-間は、ほぼ絶縁されているため抵抗値が高く、おなじ電圧でも、電流がほとんどながれません。ですので、あっとうてきに低消費電力なスピーカーである反面、金属のいたなので、音質はよくないです。そのため、電子音を鳴らす用途にしか使われません。家電製品のボタンを押したときに鳴る、ピッピッっていう音は、圧電スピーカーで鳴らしています。また、昔の16和音で鳴っていたゲーム機も圧電スピーカーです。

ユニバーサル基板

写真7 ユニバーサル基板

ユニバーサル基板は、手軽に回路を作ることができる基板です。0.1インチ(2.54mm)間隔で穴が開いており、好きな場所にたくさん電子部品を差し込み、配線することができます。

今回は、秋月電子のc型の基板をつかいました。サイズは、72mm×47mmで、名刺サイズです。


【4】回路図

第5図 回路図

右図が回路図です。

タイマーIC555の一般的な発振回路を使いました。

電源+、7ピン、6ピン間の抵抗値と、6ピンー電源-間のコンデンサの容量値を変えることで、音の高さを変えることができます。この、7ピン、6ピン間に光センサー(CdS)を挟むことで、手をかざして作る影によって音の高さを変えることができます。

また、可変抵抗 VR1を回すことでも音の高さを変えることができます。


【5】部品表

部品名型番単価数量小計取扱店舗URL
タイマーICNE555P30130秋月電子通商URL
光センサーCdS40140秋月電子通商URL
半固定抵抗10kΩ(B)20120秋月電子通商URL
抵抗10kΩ919シオヤ無線/千石電商URL
コンデンサ0.01uF15230秋月電子通商URL
圧電スピーカーPT08-Z185R40140秋月電子通商URL
スライドスイッチ3P20120秋月電子通商URL
電池BOX単三2本602120秋月電子通商URL
基板Cタイプ(72×47.5mm)60160秋月電子通商URL
M3スペーサ3mmΦx7mm60160秋月電子通商URL
合計429
表1 部品表

【6】さっそく作ってみよう

写真8 楽器の部品

写真8が今回使用する部品です。

電池BOXは、単三2本用を二つ使い、6Vを作っています。

ユニバーサル基板は大きめのものを選びました。はんだ付け点数はそこまで多くなく、差し込み型の部品だけで構成されているので、簡単に製作できます。

・タイマーICのはんだづけ

写真9 タイマーIC555
写真10 ICをまっすぐにする

電子部品は、背の低い部品からはんだ付けしていきます。

まずは、タイマーICから付けていきましょう。

こういったゲジゲジ型のICは、ピンが八の字に広がっていますので、これを垂直に曲げます。

写真11 ICは対角の場所を先にはんだづけ
写真12 ななめに付いていないか確認

ICのはんだづけは、対角の点を先につけます。

基板を表に返して、ICがななめになっていないことを確認して、残りのピンもつけていきます。

対角の2点だけであれば、まだ修正が間に合いますからね。

・はんだづけの順番

写真13-1 ランドと部品をあたためる(4秒)
写真13-2 はんだを供給する

はんだづけの手順は、

①ランドと部品をあたためる

→こてを、部品のリードと”基板のランド”にあてて、加熱します。ここがはんだの溶ける温度(190℃)くらいまで温まらないとはんだが付きません。4秒程度あてれば十分でしょう。

②はんだを供給する

→あたためた箇所にはんだをあてて溶かします。

写真13-3 はんだを離す
 写真13-4 こてを離す

③はんだを離す

→はんだをあてて十分な量が溶けましたら、コテはそのまま充てて、はんだを離します。

はんだの中にはフラックスが含まれており、このフラックスがあることできれいに付けることができます。このフラックスは、加熱して4秒程度で蒸発してしまうため、4秒以内にはんだの供給を完了してコテを離す必要があります。

④コテを離す

他の電子部品もつけていく

写真14 抵抗のリードをまっすぐに曲げる
写真15 基板に差し込む

抵抗は、リードをまっすぐに曲げて差し込む形が一番安定しているかと思います。

写真16 八の字に曲げてはんだづけ
写真17 ニッパーでリードを切る

リードが二つの部品は、八の字に曲げてはんだづけをします。

写真18 残りの部品もはんだづけ

図に合わせて、その他の部品もはんだづけします。

ユニバーサル基板の配線

写真19-1 部品のはんだを溶かしながらめっき線を刺す
写真19-2 めっき線をラジオペンチで曲げる
写真19-3 ニッパーでめっき線を切る
写真19-4 目的地ではんだづけ
写真20 裏面の配線

裏面を配線し終わるとこのようになります。

写真21 圧電スピーカーの線もはんだづけ
写真22 電池のリードをはんだづけ

圧電スピーカー、電池のリードを基板につけます。

写真23 電池をねじ止めして完成

電池BOXと基板をスペーサ―でつなげて完成。

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