電球型テラリウムをパワーアップする1
本日、あるところからこんな依頼が来ました。
内容は、この電球型テラリウムの改造です。
こちらです。けっこうおしゃれですよね。
中には電球色のLEDが一つ入っており、コイン電池2個で光らせています。
テラリウムとあって、中にはレプリカの植物がかざられています。てっぺんにある白い樹脂が電源ボタンです。上から押すことでオンオフできます。
今回はこの製品の問題点を解決します。
まず、下記が依頼者から上がった問題点です。
テラリウムの問題点
①2,3日で電池切れする
②暗い
やはり、コイン電池だとすぐに減ってしまうようです。
さっそく、分解してみましょう。
LEDが一つに、コイン電池が二つ。。。
え、コイン電池が二つ?!
この色のLEDのVfは2.7Vなので、通常はコイン電池1個(3V)で十分まかなえるのだが、あえて2個いれているのは少し疑問です。
たしかに、電池が劣化すれば、電圧は3Vを保てなくなるので、電池を最後まで絞り出すために、2個いれたのか。
たぶん、どこかに電流制限抵抗があるはずだ。
あった。
チップ抵抗が一つ入っていました。数値は、「470」
つまり、47×10の0乗。
47Ωの抵抗がついています。
。。。抵抗値が小さいな、、、
LEDの端子間電圧は2.6V
コイン電池は一個で3Vなので、二枚で6Vです。
つまり、回路図に起こすとこのようになります。
一般的な電球色のLEDの端子間電圧Vfは、2.7Vです。実際に測定しても2.6Vでした。
電源が6Vに対してLEDが2.6Vということは、抵抗の両端電圧は、理論上3.4Vということになります。
この時点で、コイン電池1個で足りるやんと思いましたがまあいいや。
さて、抵抗値が47Ω。抵抗の電圧が3.4Vということは、この回路に流れる電流はオームの法則、
I=V/Rより、72mAとなります。。。。
うそやろ、さすがに流しすぎです。
実際に電池の両端電圧を測定すると、6Vあるはずなのになんと3.1V。。。。。
2.5Vはどこにいったんだろう。
これは、あきらかにコイン電池が出せる限界の電流を超えたため、電圧を下げざるを得なくなったということです。
電流を測定すると、およそ3mA程度。つまり、コイン電池の出せる限界の電流値が3mAということです。
使用されているLEDの特徴
テラリウムの中にはLEDが一つ入っていました。型番は不明ですが、おそらく下記のLEDと同型かと思います。
OSM2DK5111A-UV
■主な仕様(Ta=25℃)
・VR:5V
・PD:108mW
・VF:2.9~3.6V
・IV:12000~14400mcd
・色温度:2000~2500K(ケルビン)
・発光色:ウォームホワイト・キャンドル(色度座標:X=0.51、Y=0.41)
・2θ1/2:15°
LEDの標準的な電流は10mA~20mA程度です。そのため、3mAはかなり少ない方といえます。だから暗いんです。
コイン電池の特性
つづいて、コイン電池の特徴を見ていきましょう。
こちらが、コイン電池の中では最も強い、村田製作所のコイン電池のデータです。
一般的なコイン電池の最大放電電流は表の3行目、3mA以下です。
なので、この製品で使っても3mA以上は流れません。それにも関わらず、LEDの回路側は72mAも欲しがっています。そのため電池は仕方なく、負荷側が3mAしか流れ込まない電圧(それが3.1Vなんだろう)まで電圧を下げるしかありません。また、電池のデータには放電負荷特性もありました。今回は、放電電流3mAでしたので、容量率は減り、80%程度しか有効に使えなくなります。
そのうえで過放電状態で使っています。電池にかなりの負担がかかっているため、もっと早くなくなる気がします。エビデンスはないですが。
この電池の公称容量は220mAh。容量率は80%ですから176mAh。3mAで使用するわけですから、176÷3で、58.6時間。
したがってこのテラリウムで寿命を計算した場合、もっとも強い村田製作所のコイン電池でさえ、58時間。約2日しか持たないことになります。
テラリウム問題の結論
①2,3日で電池切れする
[Answer] 容量175mAhの電池を3mAで使用しているため56時間しか持たない。過放電状態で使用しているためもっと少ない。100円ショップのコイン電池ならもっと悲惨です。
②暗い
10mA以上あれば明るいといわれるLEDで、3mAしか流れていないのですからそりゃ暗いですよ。
そこで、こちらを改造していこうと思います。